近況報告と、クローン病患者の食事の悩み

近況報告

 入社日が決まりました。平成最後の夏に、こんなことを報告できるなんて夢のようです。

 

 現在は黙々と部屋の片付けをしています。

 この住居に引っ越してきたのはおよそ1年前のこと。実家が差し押さえられて、競売にかけられた後のことです。なかなか引っ越し予定日が決まらず、生活空間に来訪者を招く居心地の悪い日々。やっと引越し業者が来ても、親父が予算をケチったせいで人手が足りず、家族総出で梱包作業をして持ち出すことになったのを覚えています。

 おかげで仕分けはむちゃくちゃ。なにが入っているかわからないダンボール箱の山が、今も天井まで積み上げられたままです。

 

 転居先は部屋数が減ったことで、僕の部屋はなくなりました。母の嫁入り道具が積み上げられた部屋で寝起きしています。目につくのは、上等なひのきの和ダンス。湿気に弱く、折り目をつけられない着物を保管するための専用家具です。もっとも、中身は空。着物は……きっとダンボール箱の中だと思います。

 

 そして床板が見えなくなるほど散乱して、申し訳程度に束ねられた書類の山。これはだいたい親父のせいですね。

  僕の父は、僕に負けず劣らず文字がかけません。なんなら、ひらがなやカタカナすら間違えます。ケータイの電話帳に登録した名前がよみがなまで間違っていて、「出てこないぞ」と言っています。

 そんな父は朝6時に出ていくと、夜7時に帰宅する生活を送っています。帰宅するとまずは風呂。ついで夕食で、仮眠を取ります。午後10時ぐらいに目覚めると、仕事のある日は見積書や請求書を紙に書き、それを「明日までによろしく」と僕のそばにほっぽりだして就寝。僕は果たし状のように床に叩きつけられたそれを母親と解読しながら、Microsoft OfficeのWordに打ち込み、印刷します。

 それが転居先でも続いているもんだから、このざまです。就寝前に片付けりゃいんだけどね……騒音気にしてそのままにしてたんだよね。

 

食事の悩み

 というわけで、ここからはクローン病患者による食事の悩みです。というか、相談です。こっちが本編。

 

 クローン病は発症の原因がよくわかりません。だから、病の根を立つ根治療法が行えません。そんな完治しない病気だけど、治療次第では症状が落ち着いていることもあります。これを寛解(かんかい)と呼びます。

 クローン病はこの寛解と、症状がぶり返す再燃を繰り返すわけです。

 

 患者が目指すのは、この寛解の期間をできるだけ長く持続させること。謎の多いクローン病ですが、寛解を長引かせるのに有効な手立てはいろいろわかっています。その一つが食事療法です。

 1日の脂質の摂取量を25グラム以下に抑えれば、5年、10年、15年の再燃率が下がることがわかっています(特に動物性の脂質は天敵)。問題は、この25グラムの制限がなかなかに厳しいことです。

 1日3食毎回納豆を食べているだけでアウト。もちろん、納豆以外のおかずやおやつは含みません。超芳醇のようなしっとりさせるためにバターたっぷりのトーストなら何も塗らなくても3枚まで、夏場に凍らせれば美味しいであろうシュークリームなら商品によっては1個で超えてしまいます。

 

 どうしようもないから、望まなくても精進料理風になるのが常です。味気ないし、それでいて下ごしらえに手間がかかります。肉の代わりに使うのは、大豆で作った肉もどき。水で戻して調理します。ブロック片は解凍に失敗した鶏肉のささみみたいな歯ごたえで、そぼろ状のやつは独特なくさみがあります。消化に悪いからお味噌汁にはわかめもなければ、厚揚げもありません。

 クローン病患者向けのレシピ本も買ってみましたが、似たような感じ。

 次第に調理を敬遠するようになりました。すると食に関心がなくなり、毎日うどんやバナナで済ませるように……。

 もちろん、これには利点があります。

・脂質が低い。

 なにせ、粉もんと果物ですからね。安心です。

・調理時間が短く、手間がかからない。

 お片付けも楽です。

・食費が浮く

 経済的に苦しいときでも、メニューを変えなくて済んだのはありがたかったです。

 

 ただ、どこか釈然としません。

 ただでさえ、クローン病は再燃のリスクが高まるからと禁酒禁煙。腸の蠕動運動が活発になって、お腹が痛くなるからとカフェインや炭酸の摂取も控えています。それに加えて食事制限。なんで毎日毎日好き好んで病院食よりも薄い味付けで、同じ食事をしなきゃいけないのか。同じ下痢で苦しむなら、もうちょっとバリエーションがほしい……。

 とはいっても、腹腔鏡手術を受けた後のリハビリの辛さ、体重を回復させる手間(リハビリサボったら食事再開まで間が空いて、20キロ落ちちゃった)を考えると、気安く挑戦もできないし……。それに、大腸の手術後の縫合箇所に潰瘍ができているのも怖いです(変なことして悪化したら狭窄になる恐れがある)。

 同じ病で苦しむ患者さんの多くは、経腸栄養剤と呼ばれるエレンタール(渋柿みたいな臭いと味がする)という飲み物でカロリーを補ったり、脂質の摂取量を調節することで、食事の幅を広げているようです。

 だけど僕はこれが飲めません。一本300mlほどあって、脂質はゼロなのに、300カロリーもあります。つまり、浸透圧がめちゃくちゃ高いんです。慢性的に下痢気味な僕は、飲めばトイレに駆け込むことになる。痔瘻も悪化します。

 なにか別のもの食べたいんだけど……うーん。

 ということで、相談です。

 脂質が低く、水溶性食物繊維が適度に取れて(便を作る)、低残渣で(消化されやすいって意味)、低価格で簡単に作れる料理ってありませんか?。脂質は15gぐらいまでが嬉しいです。これなら二食続けないかぎり、一日の摂取量が25gを超えません。

 それと、ノンアルコールで、炭酸飲料ではなく、カフェインも含まれておらず、冷やさなくても(ここ重要)飲めるおすすめの飲料があったら教えてほしいです。安ければ、なお嬉しいです。

 かれこれ5年もこんな食生活を続けていて、そろそろ辛い……。